あらすじ
「機械と人間の違いって、なんだと思う?」
一月の昼下がり。寂れた府立植物園「はなぶん」のカフェ「セメルパルス」で、僕は主治医の甲斐荘先生にそう問われた。
プライム上場のトップ種苗メーカーの野菜の品種改良を担当するブリーダーから、今は少し寂れた植物園の栽培員。双極性障害とパニック障害と診断され、薬で揺れ動く自分の心を「脳の働きにすぎない」と感じていた僕は、うまく答えられない。最適な答えを出すAIと、心を薬で書き換えられる人間。いったい何が違うのか。
コーヒーの香りの中で始まった問答は、冬の大花壇へ、そして店の名前に込められた意味へとつながっていく。
真冬に咲くパンジーやビオラ、葉牡丹を前に、僕が辿り着いた答えとは――。
『Homeland Green Blues ~病で全て失った僕と故郷の植物園の再生譚~』の番外編です。本編を読んでいなくても、単体でお楽しみいただけます。
tacicaというバンドのセメルパルスという曲が好きです。