あらすじ
武士になった。
これで俺も、刀を振るって戦場を駆ける――はずだった。
なのに今日も、旗を塗っている。
昨日は白。
今日は赤。
そして夕方には、また白。
「六郎殿。結局今日は誰の味方なんです?」
建武三年。
帝は二人。
朝廷も二つ。
昨日の敵が今日は味方で、三日前まで自分を殺そうとしていた男と一緒に酒を飲む。
足利尊氏、直義、高師直、新田義貞、楠木正成――。
後世に名を残す者たちが天下を巡って戦うそのすぐ横で、名もない若武者・弥太郎は考えていた。
天下の行方より先に知りたい。
――明日の旗は、何色なんだ。
南北朝から始まる、群像歴史コメディ。
これは英雄たちの物語である。
そして同時に、英雄たちに振り回された普通の人々の物語でもある。