あらすじ

「おはよう、セナ」 返事が来るとは思っていなかった。 淡い紅の培養液。光を透かす透明な輪郭。 生物研究者・氷室切奈は、初めて狙いどおりの結果を示した細胞の集団に「セナ」と名付け、毎日話しかけていた。 実験を終えようとしたその日、頭の中に言葉が届く。 ――まだ。 ――ここにいる。 自分の思考なのか、細胞の声なのか。 確かめられないまま、事故で右目の視力を損なった切奈は、研究途上のセナに、自らの角膜の修復を託す。 再び見え始める輪郭。戻ってくる光。 けれど、シャーレから離れても、声は消えなかった。 「ここ」って、どこ? 細胞を育てていたはずなのに、私のほうが生かされている。 では、この「生きたい」は、誰の願いなのか。 光に満ちた研究室から、自分の内側へ。 育てる者と育てられるものの境界が揺らぐ、生物SF。

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カクヨム
カクヨム2026/10/02
  • 現在の作品sethuna―実験を終えるはずだった培養細胞に「まだ」「ここにいる」と話しかけられた研究者ですが、ここってどこですか?―