あらすじ
「この街が嫌いだ」
中学一年生の村上沙月が手放せないのは、転校前の友達・慶介にもらった八十分のMD。
家にも学校にも居場所を見つけられない沙月は、いつか慶介のいるM原へ戻ることだけを目標にしていた。
そんなある日、祖母の家で叔父の古いギターを見つける。
弦を鳴らし、憧れの曲を真似し始めた沙月の頭の中には、いつしか大勢の観客を熱狂させるロックスター――「SATSUKI」が現れるようになる。
自室では小さなステージ。ファン第一号は幼い妹。
現実では、まだまともにコードも押さえられない。
誰かがくれた世界に逃げ込んでいた少女が、自分の音を探し始めた。