あらすじ
日本各地にダンジョンが存在し、探索者たちが日々その深部へ挑む時代。
相沢直人は、ダンジョン内部の地形を測り、地図や安全情報を更新する「ダンジョン測量士」だった。
だが彼は、同じ場所を何度も測り直す。
数センチの違いでも過去の記録と照合し、納得できるまで確認するため、仕事はどうしても遅い。
「安全確認は必要だ。でも、お前は時間をかけすぎる」
そう言われ、ついに主要現場から外されてしまう。
ところが直人が以前から気にしていた、ほんのわずかな地形のズレ。
それは単なる測定誤差ではなく、ダンジョン内部で進行していた崩落の前兆だった。
探索直前に異常を指摘したことで、S級探索者・御影澪たちは危険を回避する。
そして彼女は気づく。
直人が遅いのではない。
誰も気にしない小さな変化を、彼だけが見逃さなかったのだと。
戦う力はない。
魔法も使えない。
できるのは、測って、比べて、記録して、もう一度確かめることだけ。
だがその地味な仕事が、探索者たちを無事に帰すために必要だった。
やがて直人のもとには、高難度ダンジョンの調査依頼が次々と届き始める。
これは「仕事が遅い」と外された男が、
同じ仕事のやり方を変えないまま、
誰よりも必要とされる測量士になっていく物語。