あらすじ

結婚して、四十三年。 高橋浩一、七十二歳。 昔ながらの亭主関白で、妻・美智子への口癖は「飯」「風呂」「新聞」。 「ありがとう」なんて、一度も言ったことがない。 けれど、妻がいなければ味噌汁ひとつ満足に飲めず、靴下の場所すらわからない。 偉そうにしているくせに、本当は誰よりも妻に頼って生きてきた男だった。 そんなある日、浩一を病魔が襲う。 入院。 そして、余命宣告。 残された時間の中で、浩一は何度も妻に「ありがとう」と伝えようとする。 けれど、四十三年間染みついた不器用さが、その一言を喉の奥で止めてしまう。 そして迎えた、人生最後の日。 「今まで……一緒にいてくれて、ありがとう」 初めて妻に伝えた、その言葉。 だが――物語は、そこで終わらない。 夫が遺した一通の手紙には、四十三年間、口にできなかった妻への感謝がすべて綴られていた。 不器用な夫と、それを支え続けた妻。 言葉にできなかった愛情は、本当に届いていなかったのか。 これは、長い夫婦の人生と、最後の「ありがとう」を描いた物語です。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/10/01
  • 現在の作品最後に、ありがとう