あらすじ
なんだ……これは……。
口を開いた瞬間、奥から熱い液体がせり上がってきた。血かゲロだ――そう気づいた直後、おれは反射的に顔を横に向けようとした。しかし首がまるで動かず、吐き出した液体が目の前で跳ね、そのまま顔へ落ちてぬるりと広がった。鼻先から頬へ伝う生温かい感触と共に、口の中に錆びたような鉄の味が広がっていった。
どうやら血だったらしい。あるいはゲロも混じっていたか――どうでもいい。息がしづらい。鼻が詰まっている。いや、折れているのか。
何が起きているんだ。空が揺れながら流れていく……いや、違う。おれが引きずられているのか。襟首を掴まれ、仰向けの状態で引きずられているようだ。
敵に捕まったのか。だが、それにしてはやけに静かだ。銃撃の音も怒声も聞こえてこない。ただ地面を擦る乾いた音と振動が背中から伝わってくる。背中が地面の凹凸を拾うたびに、体が大きく揺れた。
どうなっている、いったいどうなっているんだ……。
「……っ」