あらすじ
あらすじ
「次の指示は?」
[エラー:該当する指示が見つかりません。]
数多の惑星を巻き込んだ未曽有の大戦中。大量生産型のメイド型アンドロイド『Z003』に下された最後の任務——それは、人類の脱出時間を稼ぐための捨て身の戦闘だった。
しかし、戦場で発生した凄まじいエネルギーの衝突が、時空の裂け目を作り出す。
Z003はその裂け目へと呑み込まれていった。
……システムが再起動した時、彼女を迎えたのは戦場でも、宇宙船でも、指揮官の声でもなかった。
そこに広がっていたのは——
どこまでも続く、青々とした草原。
本部との接続、切断。
他ユニットとの通信、不能。
マスターとのコンタクト、不可。
それどころか、これまで彼女の存在意義そのものだったシステム機能の一部すら喪失していた。
そして何より深刻な問題——
彼女に命令を下す者が、どこにもいないこと。
休むことなく働き続けるよう設計された初期型アンドロイド『Z003』は、未知の世界に一人取り残された。
そこは、人間、魔物、魔法、商人、冒険者、そして王国が存在する世界。元の文明と比べれば、圧倒的に技術の遅れた世界だった。
ある日、魔物に襲われていた行商人の車列を、Z003はその戦闘能力で救い出す。
感謝のしるしとして馬車への同乗を勧められ、「目的地はどこだ?」と問撃された彼女の答えはシンプルだった。
「分かりません」
目的地などない。
生まれて初めて、何をするべきか誰も教えてくれないのだから。
こうして、あてのない旅を始めたアンドロド『Z003』。
やがて彼女は、元の世界では与えられることのなかった「あるもの」を手に入れる。
——『ゾーイ(ZOOE)』という名前。
特別な意味などない名前。
製造工場から与えられたのではない名前。
シリアルナンバーではない名前。
だが、その名は少しずつ、彼女自身のものとなっていった。
人間たちと共に旅をしながら、ゾーイはプロトコルには書かれていない出来事を学んでいく。
友情について。
エネルギー補給のためではない「食事」の味について。
笑うことについて。
怒ることについて。
「願い」を持つことについて。
そして、命令のためではなく、自らの意志で「生きる」とはどういう感覚なのかについて。
銀河の戦場からやってきた、一人のメイド型アンドロイド。
彼女のような機械を知らない、未知のファンタジー世界。
取扱説明書(マニュアル)のない、新しい人生。
——これは、ただの「機械」だった彼女が、少しずつ「誰か」になっていく物語。