あらすじ
大都市の人気サロンで活躍し、海外でも腕を磨いた美容師・三神悠、三十八歳。華やかな世界を離れ、地元で親子三代に愛される美容室を営んでいた彼は、釣り先の事故で命を落としてしまう。
次に目を覚ました場所は、異世界の魔王城。悠の技術を求めて招かれた先で待っていたのは、手入れの難しい長髪と二本の角、そして切実な注文を抱えた魔王だった。
「娘が、我だとわかる程度に。それと……少し、格好よくしてほしい」
角があっても、耳の形が違っても、まずは本人の希望を聞く。
慣れない道具と魔術師セレスの力を借り、悠は異世界で最初のカットを始める。
やがて美容の知識は、新たな魔術や魔道具を生み出す発想へ。
魔王一家から城の人々へ、さらに城の外へと、悠の仕事は少しずつ広がっていく。
髪を整え、話を聞けば、怖そうな相手の素顔も見えてくる。
魔王城から始まる、美容師の異世界暮らし。