あらすじ

瞳は、毎朝走る。 家族がまだ眠っている時間に家を出て、五キロほど走り、汗をかいて帰る。 スマートウォッチには距離も、ペースも、心拍も残る。 朝ランは嘘ではない。 ただ、その途中にだけ、記録されない時間がある。 川沿いの道。 小さな公園。 数分だけ止められる時計。 そこで会う、一人の男。 夫との関係が壊れているわけではない。 家に帰ればコーヒーがあり、雨の日にはパンを焼いてくれる。 それでも瞳は、朝になると走りたくなる。 男に会いたいのか。 走りたいのか。 まだ誰のものでもない朝へ出たいのか。 本人にも、まだ分からない。 嘘をつくために走るのではない。 走っている時間の中に、少しずつ秘密が混ざっていく。 これは、不倫そのものよりも、 一人の女の中にいくつの時間が存在できるのかを追う、早朝の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/10/01
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