あらすじ
「収納しかできないお前に、もう席はない」
三年間、勇者一行の補給を支えたレントは、役立たずとして追放された。
拾ったのは、彼らが捨てた曲がった鍋。ところが、自分の物として収納してみると、壊れる前の形と修理に必要な材料が分かってしまう。
収納は、ただの荷物置き場ではなかった。
辺境の町ベルナで出会ったのは、力を失い、居場所まで奪われた元聖女フィオナ。
人間は収納できないし、傷ついた身体を修復することもできない。それでも、二人で暮らす場所なら作れる。
水の出ない井戸を直し、雨漏り倉庫を工房に変え、橋をつないで町の暮らしを取り戻す。気づけば商人が通い、職人が集まり、勇者まで助けを求めるようになっていた。
しかし、町の設備を壊していた原因は、王都の明かりを支える魔導網にあった。フィオナの力が失われた理由も、そこにつながっていて――。
捨てられた道具を直す青年と、自分の人生を選び直す聖女が、小さな工房から国の仕組みを変えていく。
修復、辺境再建、ときどき不器用な恋。役に立てない日でも帰れる場所を作る逆転ファンタジー。