あらすじ
「ロゼッタ、婚約が決まったんだ」
幼馴染のニコラは、私の淹れたお茶を飲みながら、別の女性との未来を嬉しそうに話した。
八歳のときに交わした「僕のお嫁さんになってよ」。正式な婚約ではないその約束を、私はずっと信じていた。
彼の好みを覚え、彼の予定を優先して、週に三度のお茶の時間を重ねてきた。
けれど、新しい婚約者を紹介された席で、私を待っていたのは、いつもの向かいの席ではなく、茶器のそばの席だった。
「お好きなのでしょう? こうしてお世話をするのが」
好きだったのは、お世話ではなく、あなた。
その気持ちまで、何でもなかったことにして笑わないで。
私は預かったカップを置き、初めて、自分のために席を立つ。
※公開済みの同名短編を前後編に分け、その後を描く二話を加えた、全四話の連載版です。