あらすじ
私は六十五歳。学校の給食室に勤めている。
わかりやすく言えば、給食のおばちゃんだ。
結婚はしていないし、子どももいない。
けれど、昔から子どもは好きだった。
大量の野菜を切っているとき、窓の向こうから聞こえてくる笑い声。大きな鍋をかき混ぜているとき、廊下を元気に走っていく足音。
先生に「走らない!」と注意されて、急に足音が小さくなることもある。
そんな気配を感じるだけで、私はなんだか嬉しくなった。
腰も肩も痛くなる仕事だったけれど、私にとっては、間違いなく天職だった。
そして今日、その仕事を定年退職した。
後輩たちに見送られ、とても綺麗な花束までいただいた。
何度もお礼を言って、職場をあとにした。
腕の中の花束を見るたび、胸のあたりがぽかぽかした。
明日からは何も予定がない。
少しだけゆっくりしたら、週に三日くらいのパートを探してみようかしら。
できれば、また子どもに関わる仕事がいいな。
学童のおやつを作る仕事なんて、あると良いわねぇ…。
そんなことを考えながら、帰り道の階段を降りていたときだった………
給食のおばちゃんがひょんなことから異世界に転移してみんなのご飯を作るお話です!