あらすじ
俺は、人間だ。
――そう思っていた。
両親はいない。
名前もない。
生まれたときから一人だった。
それでも俺は、自分を人間だと思って生きてきた。
そんなある日、俺は神父のいる男の家に拾われる。
そこで初めての家族と暮らし始めるが、妻のマリーだけは俺を「悪魔」と呼び、強く警戒していた。
やがて俺は、自分が何者なのかという疑問を抱くようになる。
なぜ、生まれたときから言葉を知っていたのか。
なぜ、初めて乗った馬を自在に扱えたのか。
そして――なぜ、教会で人が祈ると、自分の身体が成長するのか。
神父に導かれ、俺は一人の男と出会う。
その男は、かつて罪を犯し、神に赦しを求めた人物だった。
そして、神父は俺に告げる。
「君は、あの男の罪だ」
俺は人間ではなかった。
誰かが犯した罪が、人間の姿になった存在だったのだ。
罪は、本当に消えるのか。
罪を犯した人間と、その罪から生まれた俺。
俺はいったい何のために生まれ、何者として生きればいいのか。
これは、一人の「罪」が、自分自身の正体を探す物語。