あらすじ
魔族の町パンデモニウム。旧世界の言葉で「万魔殿」――名前は大層だが、実態は数千人の田舎町だ。三百年つづいた寒さは五年前の崩壊とともに終わり、町は瓦礫から建て直された。
議会をさぼって西の市場を歩いていた炎竜大公リヒトは、乾物屋の隣の小さな店の前で足を止める。店先に、空を仰ぐ木彫りの竜。二十三年前、城の上に一瞬だけ現れた竜――リヒトが最後に見た、弟の姿だった。
店主は、客が入ってきても気づかないヴァンピール属の彫刻師、トワ。「ごめん、あれ非売品」。
買えなかった竜の代わりに小さいのを注文して、リヒトは店に通いはじめる。
町の暮らしと、余った時間の置き場の話。
一話ごとに読める短い話の連作です。中心はトワとリヒトですが、町にはほかのカップル(百合も、男女も)がいます。
※下書きの段階と校正に生成AIを使っています。本文は作者が自分で書いたものです。詳しくは近況ノートに。