あらすじ
水難事故防止とお盆の霊を送るために行われる地元の祭り「大神川川灯祭」。
目玉となるのは夜に行われる祭り開催地「大神神社」の近くを流れる「大神川」で灯ろう流しが行われ、さらに花火も打ちあがるというこの二つのコントラストが有名で県外からも来訪者が来る大きな祭り。
しかし、主人公「杉村美羽」はこの祭りが好きではなかった。
それは彼女が小学校五年生の時。
この大神川川灯祭の開催日に父を失ったからだ。
原因はこの灯ろう流しが行われるとき、子供が川へ降り、おぼれてしまっているところを父親が助けに向かい、子供は助かったが父はそのまま帰らぬ人となってしまった。
それから幾年の時間が流れても父は帰ってこず、大学受験を控えた17歳の祭り開催の日。
母と一緒に祭りへ向かっている最中、疲れてしまった母のために水を買いに一人自販機に買いに行く美羽。
その帰り際に見たのはあの時と同じ川辺の近くでうずくまっている黒くて小さな影。
あの出来事がフラッシュバックしその子供のもとへと駆け下りていくがついたころには見当たらない。
ただ、このままでは帰れず、子供がいたらしい場所にまで川へと近づくと革の中から黒い影が飛び出し、美羽を川へと引きずり込む。
息もできず、暗い川の中でもだえ苦しみながらたどり着いた先は一面薄青色の世界。
浜辺のように細かい砂の地面に周りにはごつごつとした岩だけ。
途方に暮れている彼女のもとに現れたのは妖怪の類かと思わせるほどに全身が水色の男性。
名前を『町野』といい、当てもない彼女を町へと連れていくという。
最初はいぶかしんでいた彼女ではあったが、行く当てもないため彼の後をついていくとそこは一つの小さな町であった。
トタンやプラスチック、多少の勤続で作られたハリボテの家々が立ち並び、それはまるでドキュメンタリー番組に出てくるスラム街そのもの。
そして、連れらている最中に彼女は見つける。
かつて、自分と母と一緒に暮らしていた男の姿を。
色を失っていても、数年たっていても見間違うことのない男の姿を。
そう彼女はあってしまったのだ。
川で事故死してしまった父親と。