あらすじ
婚約者のアドリアンが帰ってくるはずだった、第一日曜日の午後。
オデットはいつものように、二人分の紅茶を淹れて待っていた。
けれど届いたのは、本人ではなく一通の手紙。
『帰還は三か月ほど延びることになる。君なら今回も分かってくれると思う』
延期は、これで三度目だった。
アドリアンが仕事を大切にしていることも、自分を愛してくれていることも、オデットは知っている。
だからずっと「大丈夫」と答えてきた。
けれど、その日オデットは初めて考える。
自分は一度でも、「待ちたい」と言っただろうか。
冷めた二つ目の紅茶を捨て、カップを戸棚へしまったオデットは、これまで二度断ってきた公文書院からの誘いを受けることにする。
誰かの帰りを待つためではなく、自分の一年を自分で選ぶために。
これは、互いを嫌いになったわけではない二人が、一度「待つこと」をやめて、もう一度これからを話し始めるまでの物語。