あらすじ
この世界では、魔法を使うにも神様の許可がいる。
修繕工の少年レトは、壊れた石積みを直す魔法を申請して――十一回、不許可になった。
十二回目の申請書を見た新米行政術士ミレアは、ひと目で言った。
「それ、一生通らないわよ」
「元どおりに」「いい感じに」「必要なぶんだけ」。
レトには直し方が分かる。けれど、それを神様に通じる言葉で書けない。
そんな夜、町の地下で異変が起きた。
父は崩落に巻きこまれ、町を守る結界も夜明けまでもたない。
許可を待っていたら、間に合わない。
それでも、許可なしでは魔法は使えない。
手では分かるのに、言葉にできない修繕工。
言葉にはできるのに、手では分からない行政術士。
これは二人と仲間たちが、壊れた町を「ちゃんと直す」ために、一晩かけて神様を納得させる物語。
――「いい感じに」は、神様には通じない。
(約二万字・読切)