あらすじ
ガラスの割れる音が日常にまぎれる高校。家にも居場所を感じられない二年生の筑紫月子は、深夜の図書室で、淡く光る不思議な少女・ヨーコと出会う。
「本の中」から来たという彼女は、帰り道がわからない。
月子は毎晩学校に泊まり込み、ヨーコの記憶を頼りに古い小説を読み始める。苦手だった文字は少しずつ景色に変わり、意味のわからなかった言葉は、いつしか愛のささやきになっていく。
触れ合う指先。窓辺に浮かぶ月。帰り道が見つかってほしい。けれど、ずっとここにいてほしい。
そんな夜の果てに、一冊の古書から写真がこぼれ落ちる――。
本と恋を知る少女の、ひと夏のきらめきと、その先の人生を描く幻想百合小説。