あらすじ

私が書いたはずの言葉は、どこにも届いていなかった。 随行記録役レームの仕事は、戦うことではない。深層へ潜る隊について行き、荷を運び、仲間が死んだら、その死を確かめて、場所と最期の言葉を書き、ギルドへ届け出る。届出が出なければ、遺族に金は出ない。 六年、そうやって書いて出してきた。 遠征先の深層で死んだ冒険者エミールは、隊の皆に言っていた。「何かあったら、うちの実家を頼れ」 届出は出した。それなのにレームは隊を追われ、ギルドには不備を問われて、記録役の認定を取り上げられた。 言われたとおり、エミールの実家の宿を訪ねた。 戸口で、塩を撒かれた。 「うちの息子はな、まだ、死んだことになっとらんのや」 届出の中身は、誰にも言えない。帳面は、書いた本人にも見られない。 彼の手元に残っているのは、自分が書いた二十七人分の届出の記憶だけだった。 ※「小説家になろう」にも掲載しています。

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カクヨム
カクヨム2026/10/01
  • 現在の作品追放された荷物持ちですが、「何かあったら実家を頼れ」と言って死んだ男の家で、塩を撒かれました ~最期の言葉は、確かに書いて出したんですが~