あらすじ
高校という閉じた世界で、噂と過去の事件に縛られ、孤立して生きる少年・青鏡白(あおみ はく)。
人を好きになることも、幸福になることも、自分には許されていない。そう思い込み、息をひそめるように日々をやり過ごしていた。
そんな白の前に現れたのが、車椅子のお嬢様・瀬里賀(せりが)愛歌(あいか)。
理知的で才気にあふれ、誰の目にも「完璧な天才」として映る彼女もまた、その期待と身体の制約の中で、「普通の青春」に手が届かない痛みを抱えていた。
噂、嫉妬、悪意、勝手に貼られるラベル。
出自も境遇も違う二人は、人から与えられた名前に傷ついてきた者同士として惹かれ合っていく。
だが、未熟さと悪意が渦巻く学校という場所は、そんな関係を簡単には許さない。過去の傷を暴かれ、すれ違い、信じたいのに信じきれず、それでも二人は、自分の痛みと相手の痛みに向き合おうとする。
青春は、美しいだけの時間ではない。
噂ひとつ、悪意ひとつで、人の心は簡単に壊れてしまう。
それでも誰かと、この世界を生き抜いていきたい。
音楽という言葉にならない言語の中で、白は自分の過去に触れ、愛歌は自分自身を肯定していく。
傷も痛みも消えないまま、それでも生きていていいのだと信じるために。
不完全な感情を、言葉と旋律に変えて。少年と少女が、それでも愛と今日を歌い叫ぶ。
これは、人から貼られた属性に苦しむあなたのための、ラブソングのような青春譚。