あらすじ
高校二年生の天城レイナは、親友の星野ミユと北海道への国際交流プログラムに参加するため、東京国際空港に直結するホテルに前泊していた。しかし深夜、空港へ向かう旅客機に巨大な黒い魔物が取りついているのを目撃する。レイナの正体は、光の力で魔物と戦う美少女戦士《セレスティアル・レイ》だった。魔物は東京国際空港へ向かう五機の航空機に侵入し、操縦士や飛行制御システムを支配。航空機同士を衝突させ、大量の恐怖を生み出そうとしていた。
レイナは変身して空へ飛び立ち、衝突寸前の航空機を次々と救う。一方、ホテルに残ったミユも魔物に襲われる。しかも魔物は、ミユが以前からレイナの正体を知っていたことを明らかにする。秘密を知られていたことに動揺するレイナだったが、ミユは「正体が何でも友達であることは変わらない」と告げる。やがて魔物は空港全体のシステムへ侵入。航空機だけでなく、バスや作業車、燃料車まで暴走させ、空港そのものを巨大な「衝突装置」へ変えていく。
レイナとミユは空港職員たちと協力し、システムを切り離して危機を食い止める。しかし事件の背後には白い仮面の存在がいた。目的は人々の恐怖を集め、異世界《魔空》への門を開くことだった。さらに五機に残された魔力の痕跡から感染が広がり、東京上空を飛ぶ五十八機もの航空機が一斉に衝突地点へ向かい始める。
戦う力を持たなかったミユにも戦士としての素質があることが判明する。レイナと力を同期させたミユは、青白い霧を操る《セレスティアル・ミスト》へ覚醒。二人は高度一万八千メートルに隠された巨大な魔力中継基地へ突入する。そこでは《高度》《速度》《孤独》《墜落》《迷失》《衝突》《恐怖》という、人間が空に抱く恐れから生まれた七つの仮面が待ち受けていた。
二人は互いを信じることで七つの恐怖を突破する。《衝突》の正体は、二十年前に命を落とした元航空機操縦士・神崎透だった。彼は「二度と空で誰も衝突させたくない」という願いを魔空によってゆがめられ、逆に衝突を支配する存在へ変えられていた。レイナたちは神崎を倒すのではなく、魔力中枢との接続だけを断ち切る。暴走した五十八機についても、魔法だけに頼らず、操縦士や管制官が自動操縦を解除して手動操縦へ戻すことで次々と正常航路を取り戻していく。
だが本当の危機は空港地下に眠っていた。そこには人間界と魔空を隔てる巨大な門が存在していたのである。レイナたちが地下へ進むと、魔空から《空を喰らう王》が現れようとしていた。門を閉じるには光と影、二つの力が必要だった。そこへ黒い翼を持つ少女《セレスティアル・ノワール》こと黒羽シオンが現れる。彼女は神崎の娘であり、かつて父を捜して魔空に巻き込まれ、境界を守る影の戦士となった少女だった。
レイナ、ミユ、シオン、神崎は力を合わせて地下の門を封印する。しかし王は東京上空に第二の巨大な門を出現させる。四人は高度二万七千メートルへ向かい、最後の戦いへ挑む。圧倒的な王の力を前に、四人だけでは押し戻すことができない。そのときレイナは、五十八機を救ったのが自分たちだけではなく、操縦士、管制官、空港職員たちの力だったことを思い出す。東京を飛ぶ航空機の灯火、空港の誘導灯、街の光――「飛びたい」「無事に帰りたい」「誰かに会いたい」という人々の願いがセレスティアルの力と共鳴する。
恐怖だけが空に存在するのではない。人間は空を恐れながら、それでも誰かとつながるために飛ぶ。集まった光を受けたレイナたちは王を魔空へ押し戻し、ついに門そのものを消滅させる。翌朝、レイナとミユは予定していた北海道行きの航空機に乗り込む。昨夜の戦いが嘘のような青空を見ながら二人は手を握る。人も飛行機も、ときにはすれ違い、ときにはぶつかりそうになる。それでも互いを信じ、つながり直すことができる。二人を乗せた航空機は、白い航跡を残して新しい空へ飛び立っていく。