あらすじ
宇宙から来訪し、自らを《神》と名乗った存在たち。
彼らの出現を境に、地球は変わった。
日本では妖怪、幽霊、鬼。欧州では妖精、竜、魔女。世界各地で、その土地に根づいた神話や伝承が現実となり、人類は「物語の怪物たち」と共存する時代へ放り込まれた。
同時に人は、レベルを上げる《ステータス》を手に入れる。
その仕組みさえ土地によって姿を変えた。
欧州では《騎士》《魔術師》といった役職が現れる一方、日本では《護法使い》の名が与えられた。
そして神々は、そんな人類の戦いを異界から《配信》として眺めていた。
気に入った人間には神々から投げ銭が飛ぶ。
金品、霊薬、武器――何が贈られるかは神次第。
怪物を倒し、レベルを上げ、神々の注目を集める。
それが新たな世界で生き残るための常識となってから十年。
20歳の不来方或は、その底辺を生きる低ランク護法使いだった。
太った身体に冴えない容姿。杉並区の安アパートで暮らしながら、痩せぎすの親友と二人、日銭欲しさに雑魚を狩る毎日。人生なんて、死ぬまでの暇つぶし。そう思っていた。
だが、ある低級レイドで事態は一変する。
本来いるはずのない中級怪異、さらに上級怪異まで出現し、退路を断たれた参加者たちは次々と殺されていく。友人も倒れ、或自身も怪異になぶり殺される寸前、いじめられていた過去と何も望まないことで傷つくことから逃げてきた自分を思い出す。
――もう誰にも奪われたくない。馬鹿にされない力が欲しい。
その願いに応えたのは、地獄に封じられた白髪の少女だった。
「では、その願い。叶えようじゃないか」
死んだ或は蘇る。その代償は、神と人との間で禁じられた契約。
さらに《ステータス》も異質な力へと変貌していく。
その日から、或の運命は狂い始めた。
怪異を倒せばレベルが上がる。
レベルが上がれば強くなれる。
そして強くなるほど――人ではなくなっていく。
やがて青年は、怪異を統べる王となる。