あらすじ
六歳の少年ハヤテは、家族との喧嘩をきっかけに家を飛び出した。
行く当てもなく森へ逃げ込んだハヤテが辿り着いたのは、世界中の国々が恐れ、決して近づこうとしない場所――『禁忌の森』だった。
そこは、かつて何度も人間の軍隊が侵入を試み、そのたびに壊滅させられてきた、人類にとって最悪の魔境。
そこに住んでいるのは、一国の軍隊すら簡単に滅ぼせる古代竜。
山を縄張りとする巨大魔獣。
魔王と呼ばれた存在。
そして、人間の歴史よりも長く生きる精霊たち。
そんな場所に迷い込んだ幼いハヤテは、当然のように死を覚悟した。
――しかし。
なぜか魔物たちはハヤテを襲わなかった。
それどころか、食べ物を分け与え、寝床を用意し、怪我をすれば治療してくれる。
いつしかハヤテは、彼らを家族と呼ぶようになっていた。
それから十二年。
十八歳になったハヤテは、禁忌の森で畑を耕し、家を建て、魔物たちと笑いながら暮らしていた。
本人にとっては、何の変哲もない毎日。
ただ一つ問題があるとすれば――
ハヤテは、自分が世界で最も危険な場所で暮らしていることを知らない。
そしてある日、十二年前に行方不明になったハヤテを探すため、森の外から一人の人間がやってくる。
それをきっかけに、世界は知ることになる。
誰も侵略できなかった禁忌の森で、十二年間暮らし続けていた人間がいることを。
そしてその少年を、世界最強と恐れられた魔物たちが『家族』として守っていることを――。