あらすじ
十六歳の朱音(あかね)は、小さな教団「暦の会」の記録係。
十二歳の秋から四年間、先生が「しるし」と呼ぶ出来事を、時刻つきでノートに書いてきた。猫の数、雲の色、停電。二十七冊。
九月三十日の深夜、先生が十年かけて計算した「終わりの日」が来て、過ぎた。
何も起きなかった。
それなのに集会所のみんなは、先生がホワイトボードに書いた「救われた」の文字を見て、泣きながら抱き合っている。
記録係は、祈りの間も目を開けていていい。だから朱音だけが、全部見てしまった。
冷蔵庫には麦茶しかなく、明日は英語の小テストがある。
二十七冊分の「しるし」は、本当にひとつでも当たっていたのか。
朱音は、一冊目から数え直すことにした。