あらすじ
ある日、神谷悠真は異世界へと転移した。
そこで手に入れたのは、アイテムボックス、転移、鑑定、言語理解、身体強化、魔力操作、魔法、結界、回復、地形操作、そしてスキル創造。
あまりにも多すぎる能力を前に、悠真は戸惑いながらも異世界での生活を始める。
しかし、悠真には一つ大きな問題があった。
――元の世界、日本に帰りたい。
幸いにも、悠真には日本と異世界を自由に行き来できる力があった。
異世界で魔物に襲われていた獣人の少女ミアを助けたことをきっかけに、エルフのセリア、魔法使いのリナ、巨大な商会を率いる獣人商人フィーネ、腕利きのドワーフ鍛冶師ミレナと出会っていく。
最初はただの旅の仲間だった彼女たちも、いつしか悠真にとって大切な存在になっていった。
一方、日本へ戻った悠真は、自分の力を使って海上に巨大な島を作り上げる。
そこに家を建て、畑を作り、温泉まで用意する。
「ここなら、日本でも異世界でも好きに暮らせる」
悠真が作った小さな楽園。
だが、突然現れた島を日本政府が見逃すはずもなかった。
政府による調査、監視、テレビ取材。
やがて島の存在と、悠真の仲間である異世界の住人たちが日本中に知られることになる。
それでも悠真は争うことを望まない。
ただ、自分と仲間たちが自由に暮らせる場所を守りたいだけだった。
そんな島に、二人の日本人女性も訪れるようになる。
島の住人たちに興味を持ち、自然と彼らと打ち解けていく会社員の朝倉美咲。
そして、仕事で異世界の写真を撮影することをきっかけに島へやって来たフリーカメラマンの桐谷玲奈。
最初は仕事や好奇心から訪れていた二人も、いつしか島そのものと、そこで暮らす人々に惹かれていく。
日本と異世界。
二つの世界を行き来する悠真たちの暮らしは、少しずつ変化していった。
そして、フィーネの商才と悠真のアイテムボックスを組み合わせ、日本と異世界の商品を交換する新たな商売――
異世界商会《World Link》が始まる。
異世界の魔石や鉱石、アクセサリー、織物。
日本の工具や日用品、食品。
今まで交わることのなかった二つの世界の商品が、少しずつ行き交い始める。
最初は小さな試みだった商売も、やがて大きな反響を呼び、World Linkは正式な事業として成功を収めていく。
そして、商品が増えたことで誰も使っていなかった家の地下室にも新たな役割が生まれる。
倉庫、工房、魔法研究室、商談室、撮影スペース。
仲間たちの居場所が増えていき、地下室はいつしか悠真たちだけの秘密基地へと変わっていく。
さらにその奥には、日本と異世界を行き来するための特別な転移部屋まで作られる。
気づけば悠真の島は、ただの家ではなくなっていた。
そこには日本から来た人々がいて、異世界から来た仲間たちがいて、二つの世界の商品が集まり、たくさんの思い出が積み重なっている。
だが、悠真自身に大きな野望があるわけではない。
世界を支配したいわけでも、英雄になりたいわけでもない。
ただ――
日本にも帰りたい。
異世界も旅してみたい。
そして、大切な仲間たちと楽しく暮らしたい。
そんな悠真の願いから始まった二つの世界での生活は、これからどこへ向かっていくのか。
日本と異世界を自由に行き来する青年と、彼を取り巻く仲間たち。
これは、世界を救う英雄の物語ではない。
二つの世界を行き来しながら、自分たちの居場所を少しずつ作っていく、悠真たちの異世界往復生活譚。