あらすじ
手取り18万、サービス残業月100時間のブラック企業。
すり減るだけの競争社会に心底絶望した俺は、満員電車の中でふと悟りを開いた。
「他人と比べるから不幸になるんだ。競争という概念すらない場所へ行こう」
その日のうちに退職届を叩きつけ、俺が辿り着いたのは誰も寄り付かない過疎ダンジョンの第1階層。
ボロボロの管理小屋を改修し、凍えていた丸っこい野良猫『ヨモ』を拾った俺は、猫を愛でるだけの究極の「自給自足ニート生活」をスタートさせる。
暇つぶしとヨモの猫缶代稼ぎに、日々の生活を『競争という概念がない社会』というチャンネルで配信し始めたのだが――これが予想外の大バズりを引き起こす。
「手際が限界社畜じゃない。特殊部隊の兵站管理だろ」
「DIYで作ったキャットタワーが完全に防衛陣地で草」
「猫が持ってきたお土産、S級魔獣じゃねえか!」
俺はただ、お金をかけずに美味しいジビエ飯を作り、ヨモを撫でているだけ。
カメラに向かって「働いたら負け」「労働者の皆様、私は特権階級として上で待っていますよ」と哲学を語る俺の媚びない姿勢は、現代社会のストレスに苦しむ視聴者の心を激しく撃ち抜いた。
病みかけのトップVTuberは涙を流して巡礼に訪れ、喧嘩を売ってきたS級探索者は「弟子にしてください!」と便所掃除を志願し、政府からの億単位のスカウトすら「ヨモとの昼寝の邪魔になるので」と一蹴する。
どれだけ莫大なスパチャと名声が集まろうとも、俺のスタンスは絶対にブレない。
稼いだお金は全額、ヨモの極上おやつと暖房設備に投資するのみ。
これは、競争を捨てた一人の男が、愛猫とスローライフを満喫しているだけで、なぜか「現代の賢者」として世界中から崇められ、救済してしまう無双配信伝説。
さあ労働者の皆様。
早く競争から降りて、こちら側へ来ませんか?