あらすじ

**「世界を救った英雄が、次に手にしたのは――小さな木切れだった」** 魔王を倒し、剣を置いた。 国からは十分な褒賞ももらった。 もう誰かに命を狙われる夜もない。 ――そして元勇者アルトは、途方もなく暇になった。 ある日、持て余した時間の中で削り出したのは、手のひらサイズの「コマ」。 「何それ?」 「回すもの」 「面白いの?」 「……さあ?」 首を傾げていた子供たちが夢中になり、大人や職人までが本気で競い始める。 もっと長く回したい。 ぶつけて勝負したい。 色を塗りたい。 自分だけの形にしたい。 遊び方は勝手に増え、遠い土地の遊びまで持ち込まれ―― いつしかアルトの家は、誰が呼んだか『遊戯堂』になっていた。 けれど、平和になったように見える世界には、まだ戦争の傷が残っている。 かつて敵だった者。 戦争で家族を失った者。 違う言葉を話す子供。 同じ遊びなのに、まるで違う決まりで遊ぶ町。 遊んだからといって、許せるわけじゃない。 分かり合えるわけでもない。 それでも。 同じコマを回すことならできる。 一本の縄の、反対側を持つことならできる。 決まりが違うなら、両方試してみればいい。 もう世界を救うつもりなんてない。 ただ今日も元勇者は、木を削る。 次に誰かが遊ぶものを。

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カクヨム
カクヨム2026/10/01
  • 現在の作品異世界遊戯堂 ~救世のアソビヤ〜