あらすじ
『Myosotis』
高校教師として島根で暮らす、25歳の富士川蓮。
高校卒業を最後に故郷へ戻ることはなく、育ての親である田中千鶴とも、もう七年近く顔を合わせていなかった。
そんなある日、蓮のもとに一通の白い封筒が届く。
宛名もない。
差出人もない。
ただ、現在の蓮の住所だけが記されたその手紙には、たった一文だけが書かれていた。
――竹中悟が死んだ。
悟は、蓮が故郷で過ごした少年時代からの親友だった。
葬儀の日、七年ぶりに故郷へ戻った蓮は、かつての町並みの中に、忘れたはずの記憶を見つける。
高校三年の頃、突然姿を消した一人の少女。
子供の頃から立ち入りを禁じられていた、古びた教会。
そして、何かを知っているようで決して語ろうとしない、大人たち。
悟の死は、本当にただの死なのか。
なぜ、誰も知らないはずの蓮の住所を差出人は知っていたのか。
そして、150年前にこの土地で何が起きていたのか。
失踪した少女、悟の死、謎の手紙、立入禁止の教会。
すべての謎が一つにつながったとき、蓮は150年前に残された、一人の男の最後の言葉を知る。
そして、その言葉の意味を知ったとき――
蓮は、自分自身がこの物語から決して逃れられない存在だったことを知る