あらすじ
父は、織田信長。
兄は、その後継者・信忠。
そんな二人の背中を追いかけた次男・織田信雄は、どうにも格好よく生きられない。
武田征伐では、兄の進軍が速すぎて活躍できない。
小田原では、大軍を率いながら韮山城に苦戦。
ようやく天下人・秀吉に認められたかと思えば、国替えを拒んで所領を失う。
城も、領地も、家臣も失った。
それでも――信雄は生きていた。
父が死んだ。
兄が死んだ。
弟が死んだ。
秀吉も死んだ。
家康も死んだ。
戦国の英雄たちが次々と歴史から去っていくなか、天下を取れなかった男は、江戸の世まで生き続ける。
勝つことだけが、人生の勝利なのか。
負けて、間違えて、恥をかいて。
それでも明日が来るたび、もう一度生きてみる。
これは「愚将」と呼ばれることもある織田信雄が、七十三年の人生の果てに、自分なりの「勝ち方」を見つけるまでの物語。
天下を取れなかった織田信長の次男による、
少し可笑しくて、最後には少しだけ泣ける――戦国「負け残り」の一代記。