あらすじ
事故で右手の神経を損傷し、絶望の中で創作を諦めた元画家の神島蓮。港町の古い借家で世間から孤立して暮らしていた彼はある雨の日、家庭内で居場所を失い、傷を負った少女・葵と出会う。
不器用ながらも交流を重ねる中で、葵はアトリエにあったスケッチブックに自身の切実な思いを描き始め、蓮は震える左手で絵の描き方を教えるようになる。言葉を超えた絆で結ばれていく二人だったが、葵の家庭環境の悪化と連れ去り疑惑によって警察と母親が押し寄せ、二人は強制的に引き離されてしまう。
自分の無力さに打ちひしがれ再び塞ぎ込む蓮。しかし、葵が残していった一枚のスケッチと感謝のメッセージを見つけたことで、自分が彼女の光となっていたことに気づく。
蓮は傷つく恐怖を捨て、左手一本で泥臭く魂を込めた一枚の絵を描き上げる。施設へと連れ去られる葵のもとへ駆けつけ、完成した絵とともに「お前はどこへ行っても自分の世界を描ける」と叫び、エールを送る。
数年後、左手の画家として復活を果たした蓮の個展に、成長した葵がスケッチブックを抱えて現れる。二人は言葉がなくとも、受け継がれた想いと未来への希望を胸に静かに微笑み合う。