あらすじ
私に、息子はいない。そう言い聞かせて、八年が過ぎた。
ある夜、池辺ゆずみのiPhoneに、もう使われていないはずの共有フォルダから通知が届く。そこにあったのは、幼い子供が描いた一枚の絵。
『ママへ あとでみてね』
そしてMacには、今日の日付で新しいファイルが置かれていた。『ママへ』。書いたのは、八年前に別れた龍士。四歳から十三歳まで、ゆずみが息子として育てた子だった。
ファイルを開くと、最初に書かれていた。
『俺は、あんたを許してない。』
なぜ龍士は、八年ぶりにゆずみを「ママ」と呼んだのか。なぜゆずみは、愛していた息子と別れることになったのか。
四歳の「あとでみてね」から、二十一歳の「ママへ」まで。これは、八年間止まっていた母と息子が、もう一度互いの答えを聞くまでの物語。