あらすじ
白峰朔は、犬が大好きだ。
できることなら毎日撫でたいし、一緒に散歩もしたい。
家に帰れば尻尾を振って迎えてくれる、そんな生活にもずっと憧れている。
しかし、朔には一つだけ致命的な問題があった。
――重度の犬アレルギーである。
犬が好きなのに、犬を飼えない。
そんなある日、朔はふと知ることになる。
ダンジョンに生息するモンスターは、見た目が犬や狼そっくりでも、生物学的には犬ではないらしい。
「……じゃあ、犬型モンスターなら飼えるんじゃないか?」
目指すは、最高に可愛い“イッヌ”との生活。
だが、朔には探索者としての知識がほとんどない。
そこで思いついたのが、配信だった。
『犬みたいなモンスター知りませんか?』
詳しい人に聞けば、きっと犬型モンスターの情報が集まる。
そんな理由で始めた、視聴者ほぼゼロのダンジョン配信。
本人が求めているのは、名声でも、ランキングでも、最強の称号でもない。
ただひたすらに――可愛い犬型モンスター。
「狼型モンスターがいる?」
なら行く。
「そこ、かなり危険ですよ?」
……でも犬がいるかもしれないなら行く。
そうして朔は、理想の“イッヌ”を求めてダンジョンへ足を踏み入れる。
――ただし。
彼はまだ知らない。
自分にとってはただの犬探しでも、周囲から見ればまるで話が違うということを。
これは、犬を飼いたいだけの規格外探索者が、最高に可愛い“イッヌ”を求めてダンジョンを駆け回るうちに、なぜか周囲ばかりを騒がせていく物語。