あらすじ
王都直行の飛竜便で、運航主任を務めるマノン。
彼女の仕事は単純だ。
預かった荷物を、決められた重量と配置で、安全に、時間どおり飛ばすこと。
ある日、大手宝飾商会の跡取りガスパールから、王都の博覧会へ送る十二箱の宝飾品を預かる。
積荷のすり替えを嫌う彼自身の希望により、条件は厳格だった。
一度封印した荷物は、依頼人であっても追加・交換・抜き取りは禁止。
封印を破れば、すべて未計量扱いとなる。
ガスパールも、それを十分に理解していた。
ところが出発直前。
彼は巨大な星晶石の孔雀像を持ち込み、こう命じる。
「これも載せろ」
追加料金。
年間契約。
他の客の荷物を降ろせという要求。
すべて断られると、ガスパールは最後に、自分の十二箱の封印を切らせる。
条件を知らなかったわけではない。
ただ、自分ほどの大口顧客なら――最後には現場が折れると思っていた。
だが。
金貨を何枚積んでも、荷物は軽くならない。
そして夜明けの風は、誰の都合も待ってはくれない。