あらすじ
五十八歳のSE・唯英雄《ゆいひでお》は、気がつけば死んでいた。
死後の世界で出会ったのは、赤井悪七郎《あかいあくしちろう》と名乗る十九歳の青年。
その父は、織田信長の命を受けて丹波へ侵攻した明智光秀を一度は退け、「丹波の赤鬼」と呼ばれた赤井直正だった。
だが直正は病に倒れ、やがて黒井城も落ちる。
そして息子の悪七郎もまた、十九歳でその生涯を終える。
そんな悪七郎から託された願いは、天下を取ることでも、歴史に名を残すことでもない。
「もっと生きたかったのじゃ、生きて家族の皆を守りたかったのじゃ」
英雄は一つだけ確認した。
――好きにやっていいんだね?
戦国の常識も、武士の生き方も、英雄にとっては五百年前の話。
戦わなくて済むなら戦わなければいい。
敵になるのなら、敵になる前に味方になればいい。
赤井悪七郎の身体で、赤井悪七郎とは違う人生を生きる。
五十八歳の現代人が、十九歳で終わるはずだった人生の続きを始める。