あらすじ
彼の家の近くには、不気味な竹藪がある。
昼間でも奥は暗く、夜になると街灯の光さえ飲み込んでしまうような場所。
私はなぜか、その竹藪の前を通るたびに中を見てしまう。
彼はいつも、そんな私の手を強く引いた。
怖がる私を安心させてくれている。
そう思っていた。
付き合って一か月。
優しい彼との時間は幸せだった。
けれど、少しずつ彼の様子がおかしくなっていく。
突然怯えたように私を見る。
私の声に誰かの声を重ねる。
触れようとすると、後ずさる。
そしてある日、彼は言った。
「少し、距離を置こう。」
その言葉をきっかけに、隠されていた過去が姿を現し始める。
彼が竹藪に隠したものとは――。
愛情と罪が絡み合う、短編ホラー。