あらすじ

ある程度、自分の思うように生きている。生活に困っているわけでもなく、食べたいものを食べ、欲しいものを買い、眠りたいときには眠ることができる。それでも日々のどこかに、拭いきれない虚しさが残っていた。未来に希望を持つことができず、何かを始めようとしても「それをして何になるのだろう」と考えてしまう。休日はほとんど家から出ず、変わったほうがいいと思いながら、結局何も変えない。行動しなかったことを後悔し、もしあのとき動いていれば何かが変わっていたのではないかと考えては、そんな自分に嫌気が差す。 何もかも無駄に思える一方で、食欲も睡眠欲も性欲もあり、美味しいものを食べれば嬉しく、嫌なことがあれば傷つき、くだらないことで笑うこともある。虚しいはずなのに、感情は普通に動いている。その矛盾に気づくたび、自分は本当に虚無を感じているのか、それとも「何もかも無意味だと思う人間」という型に自らを押し込めているだけなのかと疑い始める。さらに、その自己分析さえ自己陶酔ではないかと疑い、思考は終わりのない円を描いていく。 そして最後には、自分の気持ちを語っているはずのこの文章さえ、その形も言葉も、自分だけのものではないことに気づく。ここにある感情や考え方だけは自分のものかもしれない。けれど、それを語るための言葉すら、どこかから借りてきたものだった。ならば、この虚しさだけは本当に自分のものなのか。そんな確信さえ持てないまま、彼は今日も変わらない一日を静かに終えていく。

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小説を読もう2026/10/01
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