あらすじ
高校一年の十二月。
帰り道の河川敷で、朝倉湊はひとり夜空を見上げる少女――白瀬雪乃と出会った。
「何してるの?」
「アルニラムを探してる」
「……アルニラム?」
「星だよ。オリオン座の、真ん中の星」
教えられた星は、拍子抜けするほど簡単に見つかった。
それだけで終わるはずの出会いだった。
けれど翌日の放課後、雪乃から一通のメッセージが届く。
『今日、星見えるよ』
それから僕たちは、二人でいくつもの星を探した。
冬の大三角を見つけて。
春には、星の代わりに桜を見て。
夏祭りでは、花火の向こうに夏の大三角を探して。
秋には、もう星なんて関係なく一緒にいるようになった。
友達なのかと聞かれれば、少し違う。
付き合っているのかと聞かれれば、それも違う。
そんな名前のない関係が、ずっと続くと思っていた。
――雪乃が、春にはこの街を離れると知るまでは。
そして季節は巡り、二度目の冬。
一年ぶりに夜空へ帰ってきたオリオン座を見上げて、今度は僕が彼女より先にその星を見つける。
「アルニラム、出てる」
「……覚えてたんだ」
「忘れるわけないだろ」
星は、見えなくなってもなくならない。
だったら――僕たちは?
これは、ひとつの星から始まった二人が、四季を巡って、「好き」という気持ちを見つけるまでの物語。