あらすじ
私は彼のことが好き。
だから、彼の婚約者が邪魔だった。
私はただの召使いだったけれど、毎日彼の身の回りの世話をするうちに、いつしか彼に恋をしていた。
そして、彼も私を愛してくれるようになった。
だから私たちは決めた。
彼の婚約者である貴族令嬢ビオレとの婚約を破棄してもらおう、と。
「明日、ちゃんと婚約破棄してきてよ!」
そう彼を送り出した私は、翌日、心配になって彼の後をつけることにした。
ところが――。
「そ、その……こ、こんやく……」
婚約破棄を告げるだけなのに、彼は緊張のあまりまともに喋ることすらできない。
そして最後には泣き出して逃げてしまった。
「……信じられない。あんな情けない人だったなんて」
失望した私は、婚約者のビオレに直接会いに行く。
そこで私は初めて知ることになる。
私が邪魔だと思っていた彼女は、私が思っていたような人ではなかった。
これは、恋に夢中になった召使いと、弱さを抱えた婚約者と、その間で情けなく泣き出す一人の男の、少し奇妙な婚約破棄の物語。