あらすじ
三億円あれば、人生の選択肢はかなり増える。
仕事を続けるか。辞めるか。
休むか。働くか。
何かを諦めるか、やってみるか。
金があるだけで、その答えを自分で選べる。
そんなことを考えていた普通の会社員・佐伯が、週末に始めたのはダンジョン探索だった。
目標は――三億円。
魔物を倒し、素材を持ち帰って売る。
危険はある。それでも、給料以外に金を稼げるなら悪くない。
そしてある週末、佐伯は一本の魔物素材を持ち帰る。
査定額は、三十二万四千円。
迷う理由なんてない。
売るつもりだった。
ところが、素材を手元から離した瞬間。
佐伯は、自分の身体に起きていた変化に初めて気づく。
――もしかして、これを持っていたから?
売れば三十二万四千円。
持っていれば、次の探索で役に立つ。
金に換えるか。手元に残すか。
その選択は、次に手に入れた素材でも、その次でも繰り返されていく。
拾う。売る。残す。使う。
少しずつ増えていく金と、できること。
平日は会社員。週末はダンジョン。
人生を自分で選べるようになるために。
佐伯は、三億円を貯め始める。