あらすじ
伯爵令嬢セシリアは十年間、婚約者レオンの陰で外交文書を書き続けてきた。条約をまとめても、戦争を止めても、称賛されるのはいつも彼。セシリアは愛されるためなら、それでいいと思っていた。
だが建国記念式典の壇上で、レオンは彼女の功績を「清書係の仕事」と笑い、別の令嬢を新しい補佐官として紹介する。しかもセシリアの名前すら呼ばず、「君」とだけ告げた。
その夜、セシリアは婚約指輪と辞表を置き、隣国から届いていた招聘状を受け取る。
彼女がいなくなった途端、レオンの交渉は崩れ始めた。一方、隣国の外交官ユリウスは、匿名だった文書の癖から、ずっとセシリアの仕事を見抜いていて――。
功績も名前も奪われた女性文官が、自分を正しく見つけてくれた人と新しい未来を選ぶ、逆転の異世界恋愛短編。