あらすじ
木・火・土・金・水——五行を宿す五柱の竜娘が、五つの国を治める世界。竜人に生まれた者は天上人となり、人間に生まれた者は竜人の持ち物となる。
金の国の奴隷アキは十九歳。五歳の春から十五年、金の竜娘カノトの傍らに仕えてきた「竜付き」だ。鉱山で肺を病んだ父と、苦役に擦り切れた母を自由にするため、アキは成人を目前に、自らを奴隷競りにかける。
みるみる吊り上がる値。火の竜娘ヒノエの落札が決まりかけたその刹那、一筋の白金の刃が、競り人の槌を断ち切った。
「私の宝物庫にあるもの、そのすべてを」
竜が命と同じほど重んじる宝物庫を丸ごと差し出し、アキを競り落としたのは——幼馴染みの主人、カノトだった。
逆鱗で作られた、鍵穴のない首輪。窓のない、空っぽの宝物庫。十五年間、毎晩欠かさず二人で飲んできた、ほんのりと鉄の味がする茶。
竜の宝物庫と引き換えにされた人間に、残る四柱の竜娘が目をつける。五竜会議が下したのは、四つの「招き」。招かれた先から自らの足で帰れば、アキは永久にカノトの宝となる。帰らなければ——宝ではなかった、それだけのこと。
火は焦がし、木は絡みつき、水は溺れさせ、土は埋める。
そして金は、しまい込む。
五柱の竜娘の執着が、ひとりの人間をめぐって交錯する、異世界ヤンデレファンタジー。