あらすじ
人々の「運命」を幸福へと変える魔法宝石を作り、商売を営む公爵令嬢エリザベス・メッテルニヒ。用心棒のヴァンや使用人たちと平穏に暮らしていた彼女だったが、ある事件をきっかけに、二十年前に爵位を剥奪されたクライン家の生き残り、ショー・クラインと遭遇する。
ショーは魔法道具にマインドコントロールの魔法を仕込んでいた一族の末裔であり、父親以上の魔法の才能を持つ危険な魔術師だった。透明な魔法陣や空間魔法を駆使し、王の首を取り自らが王になるという計画を進めていた。さらにエリザベスの両親を捕らえ、実験材料として利用していた。
エリザベスはショーを追う中で王妃セレスティナに危機を伝え、対抗策として「アンチ魔法陣」に必要な王妃の血を求める。しかし、その後セレスティナが殺害され、エリザベスは殺人犯として追われる身となる。逃亡するエリザベスを支えるのは、自分を信じてくれるヴァンたちだった。
エリザベスは祖母エリーゼの協力を得てショーの居場所を探し、王子レオンからもアンチ魔法陣と王族の血を託される。レオンはエリザベスが母を殺していないと信じ、彼女の無実を確信していた。エリザベスもまた、爵位や名誉を失ったとしても、自分を信じてくれる人が一人でもいるなら「自分はエリザベス・メッテルニヒだ」と胸を張り、ショーとの戦いを続ける。
やがてショーは王都を覆う巨大な魔法を発動。エリザベスが対抗するために展開した魔法陣すら利用し、街の上空に生じた巨大な魔法構造を崩壊させ、街へ落下させようとする。ショーの魔法によって絶体絶命の状況に追い込まれる中、エリザベスは、自らが魔法宝石の商売を始めた頃から研究を続けてきた真っ赤な指輪を取り出す。
その宝石は、人間の運命を変えるだけでなく、魔法陣そのものの運命さえ変える可能性を秘めていた。エリザベスは自らの魔力を限界まで注ぎ込み、巨大な魔法陣へ赤い光をぶつけ、その運命を変えようとする。
その一方、ショーと直接対峙したヴァンは、彼の模倣魔法を見破り、ついにショーを捕らえる。ショーは王妃殺害についても罪を認め、エリザベスにかけられていた殺害容疑は晴れることとなる。
王都の危機が収束した後、王子レオンからエリザベスの無罪とメッテルニヒ家の爵位を維持することが正式に伝えられる。王妃殺害の濡れ衣から解放されたエリザベスは、再び自分の屋敷と日常へ戻る。
自分の作った魔法宝石で人々を幸福にしたいという願い。その願いを信じてくれる仲間たち。爵位や名誉ではなく、自分を信じてくれる人々こそが自分を支えていると知ったエリザベスは、これからも「エリザベス・メッテルニヒ」として魔法宝石を作り続けていく。