あらすじ
最強の探索者【単騎】久我迅が、ある日突然、失踪した。
一年半、彼の背中だけを撮り続けてきた追っかけ配信者の私は、推しロスのまま、ゲート裏の潰れかけた支援所に流れ着く。
目つきの悪い小柄な女店主。一時間百円のコンセント。旨すぎるカレー。
そして、推しとまったく同じ角度で右肩を回す癖。
……いや、推しは身長百九十の大男だ。気のせいに決まってる。
店主の背中を撮るだけの日々。
ある日、下請けで同行したクランの潜行で、私は「討伐数ゼロ」と笑われる支援職・白瀬千鶴に出会う。
その日、第十四階層で、二人が死んだ。
私のドローンは、その全部を撮っていた。
「使えない」と切り捨てられた人たちを、あの店主は安く拾っていく。
そして、業界の常識ごとひっくり返していく。
私はそれを、後ろから撮っている。
――その背中が推しに似すぎているのは、たぶん気のせいです。