あらすじ
「料理も経営も俺がやったことにするから」
恋人と六年間切り盛りしてきたカフェを追い出された、三十六歳の店長・園江。居場所を失った彼女に手を差し伸べたのは、無口な四十一歳の女性シェフ・亮子だった。
「店をやるなら、私が料理を作る」
「……どうして?」
「あなたと仕事がしたいから」
二人が新しい店〈余白〉を開いたのは、元彼の店のすぐ隣。園江を探していた常連客が訪れる一方、彼女の仕事を軽んじた元彼の店からは、少しずつ客が離れていく。
けれど、新しい毎日は仕返しだけでは回らない。仕入れの値上がり、突然壊れる製氷機、忙しさに追われて後回しになる自分の食事。そんな日々を一緒に乗り越えるうち、仕事仲間への信頼は、休日にも会いたい気持ちへ変わっていく。
雨の日の温かなスープから始まる、大人の二人の再出発。これは、自分をすり減らしてきた女性が、店も恋も、自分の意思で選び直す物語。