あらすじ

毎朝五時七分。 高校二年の柴田朔は、学校の裏門を通る。 そこで必ず聞こえてくるのが、弓道場から響く一発の音だった。 パン。 そして少し遅れて――ザッ。 的を外した矢が、砂に刺さる音。 射っているのは、日高澄。 去年の県大会で、的に刺さった矢を次の矢で縦に割った少女。 新聞に「現代のロビンフッド」と書かれ、学校中の憧れになった弓道部のエース。 そんな彼女が、誰もいない朝の道場で三か月間、一度もまともに矢を当てられていない。 その秘密を知っているのは、新聞配達をしている朔だけだった。 「今の、外れたけど……音は好きだった」 ある朝、思わず口にした言葉をきっかけに、二人の秘密の朝が始まる。 「じゃあ明日から、感想ちょうだい」 「何の?」 「パンか、ピンか。どっちだったか」 壊れた自転車のブレーキ。 誰にも言えない失敗。 忘れられない一本の矢。 そして、まだ名前のついていない恋。 これは、誰にも見られない場所で、もう一度自分の矢を射る少女と、その音を毎朝聞いていた少年の青春物語。

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小説を読もう2026/09/30
  • 現在の作品『ロビンフッドは、今日も矢を外す。』 ――新聞配達の僕だけが聞いている、午前五時の恋