あらすじ
ダンジョンが現れて30年。高校生が放課後に潜って小遣いを稼ぐのも、当たり前になった。
三灯原シンジは、トップランカーたちが予約待ちをする魔道具工房で、祖父の見習いをしている。任されるのは道具の用意と片付けくらい。祖父の仕事で出た魔石の端材に、細い回路を彫り込むのが毎日の練習だ。
「神は細部に宿る。本当に神様は宿るんだよ」
祖父の口癖は、手を抜くなという意味だと思っていた。
幼馴染のアイカに渡したブレスレット。なんとなくオークションに出した片耳のイヤリング。どちらも、ただの練習作品のはずだった。
その小さな細工に、本物の神様が宿っていたことを、作った本人だけがまだ知らない。