あらすじ
PHOENIX
冴えない大学生が、親父の大炎上のせいで突然国王になりました。
魔法大学をどうにか卒業した青年、ヨシハル・フェニックス。
王族とはいえ王位継承順位は低く、特別に魔法が強いわけでもない。
頭脳明晰な天才でも、歴戦の戦士でもない。
将来についてぼんやり考えながら、それなりに平穏な大学生活を終える――はずだった。
ところがある日。
父であるフェニックス14世が、隣国エデンで酒に酔い、国家元首カイン・ヴァレンタインに飛び蹴りを食らわせるという、とんでもない国際的大炎上を引き起こしてしまう。
そして、なぜか王位がヨシハルのもとへ転がり込んできた。
こうして誕生したのが――
フェニックス15世。
もちろん、本人に王様の経験などない。
政治も外交も分からない。
偉人達を前にすれば怖い。
面倒な仕事からは逃げたい。
できることなら大学生に戻りたい。
そんなヨシハルにも、一つだけ妙に得意なことがあった。
人の顔色を読み、その場を切り抜けること。
複雑な王族社会を生き抜くために身につけた処世術。
そして、自信がなくても堂々としているように見せる――ハッタリ。
「……自信がないなら、自信のある王様を演じればいい」
生ける伝説の吸血鬼。
獅子の将軍。
歴戦の魔導士。
若き官僚達。
そして、一国を建国した英雄カイン・ヴァレンタイン。
世界を動かしてきた怪物達を相手に、冴えない元大学生は今日も必死に“名君”を演じ続ける。
だが、演技だったはずの言葉が人を動かし、
ハッタリだったはずの勇気が国を動かし、
やがて彼の周囲には、少しずつ人が集まり始める。
父が壊した外交関係。
長年争い続けた隣国。
有耶無耶にされた国境問題。
そして、歴史に残された戦争の傷。
それらと向き合ううちに、ヨシハルは少しずつ知っていく。
国とは何なのか。
王とは何なのか。
そして――自分は、どんな王になりたいのか。
これは、王になるはずではなかった一人の青年が、
“王様を演じる”ことから、本物の王になっていく物語。
剣でも、魔法でもない。
彼の武器は――処世術と、ハッタリだ。