あらすじ
二十八歳の松澤陽華は、もう一度絵と向き合うため、二年制の専門学校へ入学した。
大学を途中で辞め、その後も仕事は長く続かなかった。
卒業する頃には三十歳。
これで本当にいいのか。
そんな不安を抱えたまま迎えた春、陽華は同じ教室で二十六歳の榊原遥斗と、十八歳の飯村ミオに出会う。
年齢も性格も、ここへ来るまでに歩いてきた道も違う三人。
けれど授業や課題、何気ない放課後を重ねるうちに、いつしか一緒にいることが当たり前になっていく。
それは陽華にとって、久しぶりに見つけた居場所だった。
春が過ぎ、夏が来る。
近づいていくほど、それまで見えなかった相手のことも少しずつ見えてくる。
そして秋。
錦玲奈が加わったことで、三人だった関係は四人へと変わり始める。
新しい誰かが入ること。
誰かを好きになること。
知らなかった過去を知ること。
ずっと同じだと思っていた距離が、少しずつ変わっていくこと。
変わってほしくないと思うほど、人との関係は同じ場所には留まってくれない。
それでも四人は、文化祭で一つの作品を作り、冬を迎え、それぞれの気持ちと向き合っていく。
消したい過去があっても、人生を白紙には戻せない。
うまく引けなかった線も、言えなかった言葉も、誰かと過ごした時間も残っていく。
だったら、その続きを書けばいい。
これは、まだ何者にもなれていない四人が、変わっていく関係の中で自分たちの居場所を探しながら、書きかけの人生の続きを選んでいく物語。