あらすじ

「朝露を集めるだけの無能な精霊師など、王妃には不要だ」 王立精霊祭の壇上、王太子殿下は数百の貴族が見守る中でそう宣言なさいました。隣に立つのは炎の大精霊と契約した新しい聖女様。「だって朝露なんて、放っておいても降りるものでしょう?」――広間に笑い声が満ちます。 けれど、セラフィーナ・ウィンドロウ侯爵令嬢は泥のついた作業手袋を外し、静かに膝を折りました。 「かしこまりました。では明日より、露は降りたままに致します」 彼女には前世の記憶がありました。水道局水質管理課勤続十四年、辞表を出せぬまま残業中に倒れて死んだ社畜・三村凪沙の記憶が。 この国の誰も知りません。大精霊の契約は百年で摩耗すること。それを繋ぎ止めているのは、毎朝結び直される無数の微精霊の露の網であること。そして――彼女が夜明け前に三百十二日、たった一日も欠かさず水脈を点検し続けてきたこと。 十年間、誰ひとり点検表を読みませんでした。 積み上げられた日誌は十四箱。複写は三部、別々の場所に保管済み。記録はすべて、こちらにございます。 どうぞそのままお続けくださいませ。わたくしは、もう辞めましたので。 退職した令嬢が王都を干上がらせる、静かで痛快な「引き継ぎ拒否」ざまぁ譚。そして、毎朝結び直される一日きりの契約が導く、あたたかな結末まで。

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小説を読もう2026/09/30
  • 現在の作品「朝露を集めるだけの無能な精霊師は不要だ」と婚約破棄されましたが、この国の水源は三百十二年分わたくしの露で繋がっておりますので、どうぞそのままお続けくださいませ 〜元社畜の露集め令嬢、辞表一枚で王都を